イリイリの木は木陰を差し伸べるのが好きでした。

海からの心地よい風が抜ける木陰は、
人々にとって憩いの場所でした。

お昼時には日焼けをした道路工事の作業員が集まってきて、
お弁当をひろげました。

彼らが仕事に戻るころ、
若いお母さんが赤ちゃんとお昼寝をしにやってきました。

週末になると子沢山の家族がやってきて、
海水浴の後には思い思いに寝転びました。

時々、恋人の乗る船の帰りを待つ女性がやってきて、
幹に体を寄せて早朝の湾を見つめていました。

イリイリの木は、木陰で人々がくつろぐ姿を見るのが大好きでした。

そして木陰はたいそう気持ちのよい場所だったので、
人々もイリイリの木が大好きでした。



次へ



戻る